仁和寺

きぬかけの道に面して大きな仁和寺の二王門があります。仁和寺は真言宗御室派総本山です。

このお寺は、仁和4(888)年に創建されたので、元号をとって名前を仁和寺といいます。とても広々として気持ちのいいお寺です。境内には、このお寺でしか味わえないような品の良さがあると思います。

二王門

仁和寺は、住職として皇室出身の人(宇多天皇)を迎えた初めての門跡寺院です。門跡とは、皇族や公家などが出家して寺主となる寺院のことです。この仁和寺のあたりは御室と呼ばれてきました。宇多天皇が出家して住んでいたことに由来します。昔は御室御所とも呼ばれていました。

金剛力士像が安置された二王門をくぐって中に入りますと、まっすぐな道が北に伸びて、中門から金堂へと続いています。左手には歴代の皇室から来られた住職の住まいであった御殿があります。

御殿に入りますと、まず南庭が目に入ります。南庭は枯山水で、天皇の勅使をお迎えする勅使門があります。

南庭と勅使門

御殿の中の宸殿(しんでん)という建物から、北庭の池泉庭園を鑑賞します。北庭の池には小さな橋がかかっていて、奥には五重の塔が見えます。五重の塔の手前には飛濤亭という簡素な茶席があります。この飛濤亭は、江戸末期に光格天皇の好みで建てられたそうです。

北庭

池が白砂に描く曲線の感じがとても良いです。手前に池、素朴な茶席、そして遠くの五重の塔という眺めは仁和寺で一番の絶景です。この写真を撮った時には、池の石の上にアオサギが静かに立っていました。

御殿の中では、白書院と黒書院が回廊で結ばれています。静かに歩きます。

御殿から出て、中門へ行きます。中門の手前からは、向こう側の小高い山と五重の塔が見えます。金堂の方に向かってなだらかな坂を登っていくのですが、このような伸びやかな山の裾野にあることも仁和寺の心地よさにつながっている気がします。

中門

中門を通って行きますと、左手に桜の林があり、右手奥に五重の塔が見えます。

左手の桜は里桜や御室有明なのですが、地名から御室桜といわれます。江戸時代からすでにこの御室桜はここにあり、お花見の場所として有名であったそうです。この御室桜は、背が低く、桜の木の足元からも枝が出てたくさんの白い桜花をつけるのが特徴です。約200本もあって、俳句にも詠まれたように、足元から白い雲がモクモクと出ている感じです。

仁和寺や 足もとよりぞ 花の雲

                   春泥 (黒柳召波、江戸中期の俳人)
御室桜

御室桜のシーズンは春です。春には「さくらまつり」として別途、御室桜を見るのに拝観料が要ります。京都の桜の中では遅咲きで、見頃は4月中旬ともいわれます。この頃に来ますと、観音堂や金堂や五重の塔の周りではミツバツツジが薄い紫の花を咲かせています。イロハモミジの若葉の新緑もきれいです。平安時代の襲(かさね)の色目のようです。

奥にある金堂は国宝で、堂内には本尊である阿弥陀三尊像や四天王像が安置されています。霊宝館にもたくさんの文化財が所蔵されています。

仁和寺といえば、私は中学校の国語の時間、「仁和寺にある法師〜」で始まる吉田兼好の徒然草でその名を知りました。その一節では、わざわざ遠出して石清水八幡宮まで行った仁和寺の法師が、山の中の本殿の場所を知らず、参拝せずに帰って来てしまいます。どんくさい法師のお話なのですが、この仁和寺に来てみると、こんないいお寺で修行されてたんだなあと思えます。ぜひ訪れてみてください。