法然院

東山の安楽寺の北側に法然院があります。山号は善気山です。哲学の道から東に入ったところにあります。

法然院という名前は、中学校の歴史の時間に学んだことのある浄土宗の法然に由来しています。法然上人は、鎌倉時代の初めに、この辺り(鹿ケ谷)の草庵で弟子の安楽・住蓮とともに、修行しておられました。その後、この草庵は長らく荒廃してしまいました。時は変わって江戸時代、延宝8年(1680)、知恩院第三十八世萬無和尚が、法然上人ゆかりの地に念佛道場を建立することを発願し、弟子の忍澂和尚によって現在の伽藍の基礎ができました。

知恩院の和尚さんが、浄土宗の元祖である法然を偲んで建てたお寺です。このお寺は昔の聖人を思い起こすような山の中にあります。杉などで構成される林の中の長い参道を歩いてゆくと、茅葺の山門に着きます。

法然院に至る道は2つあり、南側から来ると、このように長い参道を歩くことになります。北の銀閣寺の方面から歩いてくると、この山門の手前に直ぐに出ます。この長い参道の石畳を踏みしめて歩くと、特別な空間に来たという気持ちになります。

数寄屋造りの山門は、とても風情のあるいい感じなので、多くの人が写真に収めています。

階段を登って山門をくぐると、左右に砂でできた模様が目に入ります。これは白砂壇(びゃくさだん)といって、水を表現しています。この白砂壇の間を通ることで、心身が清められ、清浄な寺域に入ります。この日の白砂壇の文様は桜の花と風(もしくは波)でした。

その奥には放生池にかかる小さな橋があります。

小さな橋まで歩いて行って振り返ると、山門の茅葺屋根には苔が生えて緑色になっています。この法然院は、豊かな自然の中にあって、実はムササビが出てくるような森がすぐそこにあります。法然院の住職さんも、自然保護に力を入れています。境内に、「共生き堂(ともいきどう)、法然院森のセンター」というのをこしらえて、この建物を拠点にして自然環境と親しむ活動をされています。

本堂に行く手前に、綺麗な水の鉢がありました。椿の葉を一枚、水がこぼれるところに椿の花ではさんでいました。水が一筋、すーっと落ちています。手を洗わせていただきました。おそらく掃除をされている方の工夫だと思われます。とっても清らかです。

奥に本堂があり、本尊は阿弥陀如来坐像です。本堂の正面の石段の上には地蔵菩薩像があります。この尊像は、元禄3(1690)年に忍澂和尚が安置されたものだそうです。

この仏様に手を合わせて目を閉じると、東山の森の中で静かにお参りしている気分になれることでしょう。

伽藍内部の一般公開は毎年、4月1日から7日までと11月1日から7日までの年2回だけ行われています。講堂では、講演会やコンサートも開かれています。