哲学の道の近くにある霊鑑寺は、いつもは公開されていないお寺です。この冬は京都市観光協会の「京の冬の旅」が「京の御大祭 雅の御所文化」をテーマに非公開文化財を特別公開していて、霊鑑寺の奥書院が36年ぶりに公開されています。

明日から雨がちになるということで、大切な晴れの休日を利用して見て来ました。霊鑑寺は大文字山(如意ヶ岳)の麓にありますが、少し山の中腹に登ったところにあります。安楽寺の前の道を南に歩いていくと霊鑑寺の山門に着きます。

この日は私は初めての参拝でしたので、かなり期待していました。北隣の法然院と安楽寺も山門の雰囲気のいいお寺ですし、南隣の大豊神社も大好きな神社です。霊鑑寺は特別公開のときに来なくてはいけないので、今までチャンスがなかったのです。

山門をくぐって参拝料をお支払いし、お庭の方に行きますと、小さな庭があるようです。小道を順路の矢印に沿って歩いてゆきますと、まず、書院の前を通って、本堂にたどり着きました。ここには説明員の方がおられ、このお寺の由来などのお話を聞かせていただきました。それによると、本堂の中に御本尊である如意輪観音像があるとのこと。この御本尊が霊験あらたかな鑑をもっているので、霊鑑寺というそうです。後水尾天皇の皇女・多利宮(たりのみや)を開基として創建され、歴代皇女が住職を務めた尼門跡寺院で、「谷の御所」とも呼ばれた格式のあるお寺だそうです。谷、というのはもともとこちらに移ってくる前は南の鹿ケ谷のあたりにあったからだそうです。

このお寺のお庭は、如意ヶ岳の中腹にあるからでしょう、高低差があり、石段を上り下りします。また、いつもは非公開なためか、苔が見事に生育していました。

後水尾天皇が椿を好まれたそうです。そのために、お寺は「椿の寺」ともよばれていて、境内に200本ほど植えられているそうです。説明員の方によれば、春の特別拝観の時期が特に椿が美しいそうです。でも、今でもすでに咲いている椿もある、ということなので探してみることにしました。ピンク色の椿が苔の上に散っていました。この椿には「有楽」という名札が掛けて有ります。他にもたくさんの椿があります。

思った以上に広い庭を歩いて、最初に横切った書院に入ります。中にも説明員の方がおられて、螺鈿(らでん)や御所人形のほか、違い棚や天井の造りなどの解説をしていただきました。狩野派や円山応挙の障壁画についてもお話していただきました。これらの襖絵はいつもの特別公開で公開されているものだそうです。その後、36年ぶり公開という奥書院に歩みを進めました。

小さな奥書院は、鷹狩りと、紅葉狩りと、名瀑、つまり滝の障壁画に囲まれていました。作者は明らかにはなっていないそうです。この奥書院は、特に天井に特徴があるそうです。天井が薄い青であるはなだ色(縹色)で、鳳凰のデザインが入っていました。紙を貼っているそうで、綺麗な発色でしたが、それは最近になって修復されたからだそうです。さらに、柱にある釘隠しという金具がうさぎのデザインでした。うさぎを真正面から見たようになっていて、長い耳が左右に流れています。これはこの霊鑑寺一帯が、京都市中から見て東にあり、うさぎの信仰があったからだそうです。

36年ぶりの公開!なので、次はいつ公開されるのか心配ですし、なんだかすごいものを見せていただいた、という気持ちでいっぱいになります。感銘を受けつつ、書院から出て庭をもう一回、周遊させていただきました。このお寺には入口の朱印をいただけるところに大きな犬がおられます。気になったので聞いてみたところ、このお寺の住職の犬だそうで、お名前はなみちゃんとのことでした。こういうところにも面白さを感じるお寺でした。

天気も良く、大切にしている寺宝を見せていただき、感謝の心で満たされつつ、帰路につきました。

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